越境ECを始めるには、いくつかの必須となる機能が存在しますが、Shopifyはその多くを提供しており、越境EC立ち上げにおすすめです。ここでは、越境ECでShopifyを使うメリットや注意点などについて解説します。
Shopifyは、50の言語と130カ国以上の通貨に対応しています。言語については、制作したECサイトを、アプリを用いて別の言語に自動で翻訳することや、設定画面で翻訳を直接入力することもできます。また、カート画面やストアの基本となるような箇所は、言語設定をするだけで、自動で他の言語に対応することもできます。通貨については、自動でレートが変換できるようになっており、細かく設定をする必要がありません。
Shopifyには、Shopifyペイメントという決済システムが搭載されていることにより、クレジットカードやApple Pay、Google Payでの決済に対応可能です。また、世界最大規模のオンライン決済サービス「PayPal」は、サイト開設時からすぐに利用可能です。さらに、世界各国の100種類以上の決済方法に対応しているため、ほぼどの国でも迷うことなく使用できます。
越境ECでは、配送時に送料や関税を計算し、インボイスを作成する必要があります。国や地域ごとに算出方法や金額が異なる送料や関税を、商品購入の都度、正確に計算することは困難な作業です。その点、Shopifyでは、国や地域ごとに送料や関税を正確に計算することができます。システム上で自動計算されるため、配送のたびに送り状やインボイスを手動で作成する必要がありません。また、梱包のサイズや重量を入力すると、国内外の配送会社ごとの料金を比較することができます。
Shopifyでは、さまざまなプラグイン(拡張機能)を追加することができます。Shopifyアプリストアには8,000以上のアプリがあり、業務の効率化やマーケティングなどの売り上げアップにつながるものから、多言語対応、他通貨対応、海外配送の簡略化など、越境ECを運営する際に便利なアプリまで豊富にあります。
デザイン面では、公式テンプレートが70種類以上あるため、ECサイト構築の経験がなくても、海外受けしそうなデザインテンプレートもあり、デザイン性の高いホームページを制作できます。
Shopifyは、越境ECサイト運営を成功させるために欠かせないマーケティングツールも充実しています。販促効果を狙ってFacebook広告やGoogle広告と連携しながら、広告を自動作成することが可能です。初回購入した顧客にリマインドメールを送ったり、しばらく購入がない顧客に割引クーポンを配布したりすることもできます。
また、SEO対策のための基本事項が最初から備わっているため、複雑なキーワード選定などの設定は必要ありません。ストア分析機能を利用すると、Facebook広告やGoogle広告の効果も検証できます。
Shopifyは、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を導入しています。CDNは、大容量のデータをネット上で大量配信するためのネットワークで、主に動画配信などに利用されるもののため、通信が安定しています。このCDNにより、どの国からサイトを閲覧しても高速で安定した表示ができます。
越境ECを利用する場合、海外へ商品を発送するため、輸送コストが高くなります。配送料についてもそうですが、関税もかかりますので、国内向けに発送する場合に比べてコストが余計にかかります。また、たとえば贈答用のラッピングや熨斗(のし)の設定の追加など、機能を導入するために有料アプリを追加すると、その分運用コストが追加されて、費用がかさみます。
Amazonや楽天市場といったモール型のECプラットフォームには、モール自体にユーザーが多く流入するため、商品を出品するだけで認知されやすいですが、Shopifyの場合、プラットフォームを使って自分のECサイトを新たに1つ作ることになるため、集客は一から自力でしなければなりません。
Shopifyでは、日本語のサポートがあまり十分ではありません。2021年に日本支社ができたものの、まだコールセンターでのサポートはない状態です。また、Shopifyではアプリを追加して機能を拡張することができますが、アプリの多くが日本語対応しておらず、その時点でつまづいてしまうおそれもあります。
たとえばフグやフカヒレなど、日本国内では問題なく販売されている品でも、国によっては厳しく制限されている場合があります。そのため、販売する商品が、販売先の国に配送できるのかどうか、商標権の侵害の有無や食品の安全基準に関する法律などについても確認しておく必要があります。
海外では、日本とは異なり物流インフラが整備されていない国もあり、荷物の取扱い方法も異なります。国内での配送に比べると、荷物が雑に取り扱われたり、商品が届かないといったトラブルの可能性も考えなくてはなりません。そのため、多少料金が高めでも、信頼できる配送業者を選びましょう。おすすめなのは、日本郵便とクーリエ便の2社です。
海外への配送は、日本国内への配送に比べ送料が高く、加えて関税もかかります。これらの点を把握しておかないと、利益が思ったより少ないという事態も生じますので、頭に入れておきましょう。また、商品が到着するまでのリードタイムも、販売する国によって異なります。国によってはリードタイムが1週間以上必要になる場合もありますので、その場合は、事前に顧客に説明するなどの対応が必要になります。
ECサイトの制作や運営には、さまざまな知識やスキルが必要です。もしECサイトの制作や運営に負担を感じるのであれば、制作や運営の代行業者を探してみましょう。新規事業でしたら、特に失敗しないためにもパートナー選びからが重要になります。